衆議院議員を辞す

この時、彼は身心疲れ果てて、殆ど壇上に倒れるばかり、ぢツと双眼を閉ぢ、幾度も頭を振つて、また口を開いた。[#ここから1字下げ]『憲法がある、立派に憲法が行はれて居る。租税を出せ――かう言ふ。私は絶対的反対でございます。憲法は書いたものばかりの理窟で無い。徳義だ。徳義を守るものが憲法を所有する。背徳の人は憲法を所有する権利が無い。憲法は国民四千万同胞の共有すべきもので、悪人には所有権が無い』[#ここで字下げ終わり]四十歳始めて立憲政治の建立に志を立ててより二十年。今やこの一声を議場の四壁に残して、彼は徐ろに議院の門を出た。

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三十四年九月、東京控訴院に於て兇徒嘯集被告事件の第二審公判が開かれた。[#ここから1字下げ]重罪の被告         二十三名軽罪の者          二十八名弁護士           五十余名[#ここで字下げ終わり]鉱毒問題は、帝国議会から裁判所へ移つた。[#ここから1字下げ、折り返して2字下げ]一、渡良瀬川沿岸被害地中、被告居村の臨検、及び其収穫高の鑑定、土壌の分析、土質と作物との関係の鑑定。一、本件犯罪地、即ち雲龍寺より館林、川俣地方の臨検。一、鑑定人には農科大学の三教授選定。[#ここで字下げ終わり]

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